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Writer's pictureSumiko Glenn

2021年度所得税対策

2021年も、あと少しとなりましたね。年が明ければ、2021年度の所得税申告シーズンが始まるわけですが、今回は、2021年度の所得税を申告する前にできる節税、及び今年中に考慮したい将来の所得税対策等について、少しお話ししたいと思います。


Paycheck(給料)のWithholding(源泉徴収額)を確認する

Paycheckの源泉徴収額が少なすぎたままで今年度が過ぎてしまった方の中には、来年春の所得税申告の際に、びっくりするような税金額を支払わなくてはいけない、ということになる場合があります。そのような不安がある方は、今すぐに、IRSのTax Withholding Estimatorを使って、ご自身の源泉徴収状況を確認してみてください。リンクは、

です。一番最近のペイチェックの明細と2020年度の所得税申告書類の情報を入力すると、2021年の収入予想と、源泉徴収がいくらぐらい足りていないか、という金額が出ます。この不足額を、FormW-4のLine4(c)に記入して、年内最後のpaycheckが発行される前に、雇用主に渡すことで源泉徴収額を調整することができます。ただし、一般的に、不足金額が$1,000以下の場合はペナルティーがかかってくることはまずありませんので、ご安心ください。

この12月中の源泉徴収額調整の機会を見逃してしまった方は、後一回残っている第四期四半期予定納税 (4th Quarter Estimated Tax Payment) を2022年1月17日までにオンラインで (www.irs.gov) 支払いをするか、チェックを国税局に郵送する事によって、2021年度の所得税納税必要額を満たす事ができます。

また、その機会をも見過ごしてしまった場合には、1月31日までに電子申告を済ませて、正式な額を納税する事によって、最後の四半期予定納税を時間通りに支払ったとみなされるので、結果としては同じとなります。唯一の問題は、国税局が1月中に電子申告サイトをオープンするかどうか、現時点では不明な点です。これらの機会を逃し、その後、所得税シーズン中に申告した時点で、延期願いの提出の際に、あるいは、更にその後で申告した時点で不足額を納税した場合には、利子や罰金を徴収される可能性が高いので、注意しましょう。


Deductible Expense(控除できる経費等)の確認

所得税申告で、Itemized Deduction(Schedule A 項目別控除)をしていらっしゃる方は、下記の項目をチェックしてみてください。年内にこれらのDeductible Expenseの支払いを済ませておくと良いかもしれません。計算した結果、今年はItemized Deduction(Schedule A 項目別控除)を使わず、基本控除(Standard Deduction)を使用する事になった場合には、2022年まで待ってから支払った方が良いかを、予め計算して決めるのも一考です。

• モーゲージ支払い: 1月の分を12月に支払ってしまうと、モーゲージ利子控除額が高くなります。

• 州税や消費税の支払い: 州税の予定納税を年内に支払ったり、車の購入を年内に済ませる。

• 固定資産税の支払い: 一年分を年内に払ってしまうか、或いは半年分を翌年に回す等して、控除額を調整する。

• 慈善事業寄付。慈善事業寄付額、及びGoodwill等に物件を年内に寄付するかどうかを決める。慈善事業寄付に関しては、次項で更に説明します。

• 医療費の支払い: 納税者が支払った医療費が、Adjusted Gross Incomeの7.5%を超えない限り、国税申告上で医療費は控除されません。その為、医療費の控除が受けられないことが多いのですが、医療費が非常に高かった方は、控除対象になりえます。そのような場合には、医療費の請求書を年内に支払ったり、眼科や歯科などの予約を入れて、年内に診てもらう、などの対処もありえますし、医療費の前払いを受け取ってくれるクリニックもあります。


一つ重要な点ですが、国税申告書上で医療経費控除ができない場合でも、アリゾナ州所得税申告書上では、項目別控除をしますと、医療費は、100%控除できる事です。例をあげましょう。AGI (Adjusted Gross Income - 調整後の総合収入) が$100,000、自費で支払った医療費が$18,000、固定資産税などの控除できる税額が$10,000、慈善事業寄付総額が$1,000の夫婦の所得税申告をするとしましょう。AGIの7.5%は、$7,500となりますので、控除に使える医療経費は、$18,000-$7,500=$10,500となり、Itemized Deduction (項目別控除) の総額は、$10,500 + $10,000 + $1,000 = $21,500となります。しかしStandard Deduction (基本控除) は$25,100ですので、国税申告では基本控除を選ぶ事になります。これに対してアリゾナ州では、医療費を全額控除してくれますので、AZ Itemized Deduction (項目別控除) の総額は、$18,000 + $10,000 + $1,000 = $29,000となります。この額はアリゾナ州Standard Deduction (基本控除) の$25,100を上まりますので、当然アリゾナ州の所得税申告には、項目別控除を報告する事になります。


慈善事業への寄付 - Itemized Deduction (項目別控除) をした場合

慈善事業への寄付 (Charitable Contributions) はItemized Deduction (項目別控除)で、控除する事ができます。キャッシュの寄付の他、物件(洋服や食器や家具などの物品、骨とう品、車など)を寄付することで、市場価値の額の控除を受けることができます。この市場価値は、ご自分がGoodwill等での買い物をした時の経験をベースにした査定でも結構ですが、多種多額の物を寄付した場合には、タックス・ソフトウェア等に付いている寄付した品物の価値を算定するツールを使って金額を出すことお勧めします。また一つの団体に$250以上の物品 (単数・複数に限らず) を寄付するときには、その品物を写真に撮り、その団体から日付入りの受け取り書をもらう必要があります。$5,000以上の物品(絵画やアンティークなど)を寄付する場合には、資産鑑定書が必要です。物品でなく、現金で寄付する場合は、2021年度の所得税申告では、Adjusted Gross Incomeの100%まで、寄付を控除する特例が適応されます。


慈善事業への寄付 - Standard Deduction (基本控除) を使った場合

2018年度所得税法の改訂で、Standard Deductionの控除額が2倍になったこともあり、ほとんどの納税者がItemizeではなく、Standard Deductionを選択されていると思います。しかし、Itemize Deductionをしていない方でも、現金を慈善事業団体に寄付することで、一人$300まで、Married Filed Jointly夫婦申告であれば、$600までの控除を受けることができます。国税局の慈善事業寄付控除は、現金の形(キャッシュ、クレジットカードやチェック)の寄付のみに限られるので、ご注意ください。$250以上の現金の寄付の場合は、そのチャリティー団体からの日付入りの受け取り書を貰ってください。$250以下の現金の寄付の場合は、支払った際のクレジットカードのレシートや、チェックのイメージなどを証拠として、保存しておきましょう。

ここで付け加えますが、アリゾナ州所得税の場合には、別の法律が適用され、キャッシュでの寄付、チャリティーマイレージやGoodwill等への物件寄付も全てを含めた総額の25%の控除が基本控除額に足されて控除されます。したがって、国は現金寄付$300 (夫婦合同で$600) まで、アリゾナ州は総合寄付額の25%を基本控除額に上乗せして、控除する事ができると覚えておけばよいでしょう。


できる事なら、収入を減らす

納税額を減らすには、上記に述べたように課税対象収入からの控除額を増やすという方法がありますが、もう一つの方法としては、可能なら、収入そのものを減らすという事も考慮にいれてみましょう。例えば、自営業やコントラクターをなさっている方でしたら、クライアントへの請求書を遅らせて渡して、翌年の1月初旬に支払いを受け取るという事もできます。それが翌年の所得税に悪影響を及ぼさないのでしたら、考慮する価値があります。同様に、来年購入する予定だった機器を今年購入する事によって経費を増やし、よってビジネス純益を減らす事もできるでしょう。レンタル固定資産をお持ちの方は、修理費などを今年払うという方法もあります。社員でしたら、年度末のボーナスを、翌年1月に払ってもらうのも手です。同様に、会社の401K等の退職金積み立て口座に、最高限度まで投資しますと、W2で報告される課税対象収入が減りますので、所得税が下がります。

一般に、国税局から特別な許可を得ない限り、個人所得税はキャッシュ・システムですので、収入も経費も支払われた年度に報告する事、を覚えておきましょう。


キャピタルゲイン収益(Capital Gains Distribution)を調整する

課税対象口座のミューチュアルファンド (Mutual Funds) を所有していらっしゃる方は、ミューチュアルファンドからの1099-DIV (配当金収入報告書) を通して、配当金収入 (Dividends) やキャピタルゲイン収益 (Capital Gains Distribution) が報告され、課税されますので、ご注意ください。配当金収入は、それをすぐに再投資に利用していたとしても、課税されます。キャピタルゲイン収益は、実際には全く収益を受け取っていないにも関わらず、課税されます。ですから、課税対象口座で、ミューチュアルファンドをお持ちの方は、節税に適したファンドに切り替える事も大切です。キャピタルゲイン収益の大きいファンドは、IRAや401Kなどの課税対象にならない(口座から現金を下ろすまでは非課税)口座でお持ちになる事を勧めます。

通常、1099-DIVを通して報告されるミューチュアルファンド(MF)のキャピタルゲイン額は、その見積もりを、収益計上予定日程とともに、11月、12月頃に公表しますので、それをもとにご自身のキャピタルゲイン税を計算されると良いでしょう。こうした理由から、MFは、購入のタイミングに気を付ける事が大切です。例えば、MFを売却したければ、収益計上予定日以前に売却する事、購入したければ、収益計上予定日以降に購入する事によって、不本意なキャピタルゲイン税を免れる事ができます。

こうしたMF内でのキャピタルゲインや、実際に所有されているMFや株、債券、その他の物件の売却の取引によってキャピタルゲイン収益が生じる場合には、お持ちの物件で購入価格よりも価値が下がっているものがあれば、その物件を売ることで(もしそれが自分の目的や時期に釣り合うものなら)年内にロス(損失)が計上されるので、ゲイン(利益)と相殺することができます。ここで覚えておきたい事は、個人所得税上のキャピタルロス(損失)は例年$3,000までしか控除されず、控除できなかった損失額は繰り越され、将来の所得税申告上に報告されます。

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